こんにちは。

夏は麦茶が一番! と思っている冬灯です^^


今日は海外ミステリーの読書感想です。





   愛国殺人


     作者:アガサ・クリスティー


〇あらすじ
どんな人間でも自分がみじめに見える場所がある。
歯医者の治療台はその最たる例だ。
むろん灰色の脳細胞を持つ名探偵にとっても・・・。
診療室での憂鬱な検診を終え、一息ついたポアロのもとに、歯医者の自殺を知らせる電話が入った。
しかし彼ほど自殺と縁遠い人間はいなかったという。
果たして巧妙に仕組まれた殺人なのか?





大好きなポアロシリーズ。
アガサの作品は面白い。
さすがミステリーの女王です。

見立て殺人ではないけど、ここでもマザーグースが引用されている。
犯人の動機がやりきれなさを生む。
国を愛するが故の殺人。
国を支える民を一人であっても殺す結果になれば、それは国のことを本当に考えているとは言えないだろう。
他者から見て、善人であれ、悪人であれ、何らかの形で人は支えられているということを忘れてはならない。

「私は国家のことなどに従っているのではありません。私のたずさわっているのは自分の命を他人から奪われない、という権利を持っている個々の人間に関することです」と、ポアロ。
この台詞にはっとさせられた。
まさしくその通り。








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テーマ : オススメの本の紹介    ジャンル : 本・雑誌
 2020_09_17



今日は海外の推理小説の感想。
ネタバレありますのであしからず。





  ☆時の娘

    作者:ジョゼフィン・テイ


◎あらすじ
薔薇戦争の昔、王位を奪うためにいたいけな王子を殺害したとして悪名高いリチャード三世。
彼は本当に残虐非道を尽くした悪人だったのか?
退屈な入院生活を送るグラント警部は、ふとしたことから手にした肖像画を見て疑問を抱いた。
警部は徒然なるままに歴史書を紐解き、純粋に文献のみからリチャードの素顔を推理する。






グラント警部シリーズの一作。
悪名高い15世紀のイングランドリチャード3世の「犯罪」を、現代の警察官が探究するという歴史追求型ミステリー。

この小説は、「歴史がいかにして作られるのか」を探究し、確かな証拠がないにもかかわらずあたかも真実のように受け容れられている「神話」についても述べている。
巨大な「神話」の作られ方を理解するグラントは、リチャード3世の場合にも勝者であるチューダー朝によって記された虚構が「歴史」として現在も流布しているのだという答えを導き出す。 

作品で中心的に扱われるのは「塔の王子たち」の命運である。
リチャード3世の兄であるエドワード4世の子、エドワード5世リチャードは、リチャード3世によってロンドン塔に幽閉され、その後行方不明になった。
彼らはリチャード3世によって暗殺された、というのが広く語られてきたことがらである。
この作品では、リチャード3世が「塔の王子たち」を殺害したという嫌疑について、根拠がないと否定している。 

真実は如何に。

歴史の教科書では悪名で通っているリチャードだけど、こうして読んでみるともしかしたら警部が推測することが事実であるかもしれない。
こういう歴史を紐解いていく謎解きはワクワクして面白い。
警部の推理にどんどんのめり込んでいって楽しい時間を過ごせた。

薔薇戦争についてあまり詳しくないけど、この本を読んだら俄然興味が湧いた。
史実をもう少し勉強したいかも。
もちろん、歴史をあまり知らない人でも面白く読める一冊ではないかと思う。

歴史はミステリー。
検証は夢がある。





テーマ : 本とつれづれ    ジャンル : 本・雑誌
 2020_06_14



海外のミステリー小説。
以前読んだ本の紹介&感想です。





   ☆悪い夢さえ見なければ

       作者:タイラー・ディルツ


◎あらすじ
全身をナイフで切り刻まれ、左手首のない女性教師の遺体が発見された。
わたしは面識がないはずの被害者になぜか見覚えがあった。
捜査が進むが、有益な物証や目撃情報がなく、手掛かりを得るには己の記憶と向き合わなくてはならない。悪夢を見続けるほどの辛い記憶にーー。
家族を亡くした痛みを抱えるダニーと格闘技に秀でた相棒のジェン。支え合う男女刑事コンビ。





ハードボイルドの匂いを少々感じた。
マフィアを敵にしても構わないという突っ走り方、妻の死別や悪夢のことから主人公は破滅願望を抱いているようにも思える。
捜査はサクサク進み複数の疑惑も意外とアッサリめだ。
ロングビーチという土地が持つイメージ通りの不動産&豪邸を絡めた事件。

妻を事故で亡くして以来悪夢に悩まされているロングビーチ署殺人課の刑事ダニーと格闘技の達人女性刑事ジェン。 
ハイスクールで見つかった全身を切り刻まれ左手を切り落とされた女性教師。
彼女の隠された秘密、 被害者と亡き妻の繋がりを思い出したダニー。

内容的には微妙・・・。
さらっとしている書き様で、安直さがある。動機の部分もいまいちだった。

ハムレットの一節がタイトルに使われているように、ダニーの亡くなった奥さんがシェイクスピア好きというのも、シェイクスピアの物語や世界観と重ね合わせて心情を想像していく様子は面白いとは思ったけど。

推理小説というよりも、ドラマのような読み応え。
どうやら続きも出ているらしいので、いずれは読んでみたい。
面白いかどうかはそれから判断しよう。






テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
 2020_05_20



海外のミステリー小説。
以前読んだ作品の紹介と感想です。
ねたばれあります。






   ☆黒猫

     作者:エドガー・アラン・ポー

◎あらすじ

語り手は幼い頃から動物好きで、さまざまなペットを飼っていた人物。

彼は若くして結婚したのだが、妻もまた動物好きであったから、小鳥や金魚、犬やウサギといった様々な動物を捕獲しペットにしていた。

その中でもプルートーと名づけられた黒猫はことのほか美しく、また語り手によくなついていた。

しかし、語り手は次第に酒乱に陥るようになり、不機嫌に駆られて飼っている動物を虐待するようになった。

それでもプルートーにだけは手を挙げないでいたが、ある日、プルートーに避けられているように感じた語り手は猫を捕まえ、衝動的にその片目を抉り取ってしまった。

当初は語り手も自分の行いを後悔していたものの、その後も募る苛立ちと天邪鬼の心に駆られ、ある朝とうとうプルートーを木に吊るし殺してしまう。

その晩、語り手の屋敷は原因不明の火事で焼け落ち、彼は財産の大半を失う。そして奇妙なことに、唯一焼け残った壁には首にロープを巻きつけた猫の姿が浮き出ていた。

その後、良心の呵責を感じた語り手はプルートーによく似た猫を探すようになり、ある日酒場の樽の上にそっくりな黒猫がいるのを見つける。

彼は黒猫を引き取って家に持ち帰り、始めは妻とともに喜び合っていたが、しかしその猫がプルートーと同じように片目であることに気付くと、次第にこの猫に対する嫌悪を感じるようになる。

その上、その猫の胸には大きな白い斑点があったのだが、それが次第に大きくなって絞首台の形になってきた。

黒猫の存在に耐え難くなった語り手は、ある日発作的に猫を手にかけようとするが、妻が割り込み止めようとしたために逆上し、妻を殺害してしまう。

語り手は死体の隠し場所を思案したのち、地下室の煉瓦の壁に塗りこめて警察の目を誤魔化す。

しかし捜査が地下室にまで及び、それでも露見する気配がないと見た語り手は、調子に乗って妻が塗り込められている壁を叩く。

すると、その壁からすすり泣きか悲鳴のような奇妙な声が聞こえてきた。

異変に気付いた警察の一団が壁を取り壊しにかかると、直立した妻の死体と、その頭上に座り、目をらんらんと輝かせたあの猫が現れる。

語り手は妻とともに猫を壁のなかに閉じ込めてしまっていたのであり、その猫によって絞首刑にかけられる運命を負わされたのだった。 






エドガー・アラン・ポーの短編小説。
酒乱によって可愛がっていた黒猫を殺した男が、それとそっくりな猫によって次第に追い詰められていく様を描いたゴシック風の恐怖小説であり、ポーの代表的な短編の一つ。


昔から猫という動物に対して霊的要素を加えたホラーはよくある。日本でもよく怪談に登場するし、それは海外でも同じなのだなあ。

しかも黒猫。


このイメージが定着し過ぎちゃって、黒猫は不吉という感が否めない。

実際私も暗闇とかで黒猫を発見すると、ヒヤリとしたものを感じる。

猫にとっちゃはた迷惑だろうけど。


この主人公はなぜ酒乱に陥ってしまったのかは分からない。

動物愛護者がなぜ虐待に走ってしまったのかも謎。

普通の人間が突如サイコパスに目覚めてしまうのはひじょうに怖い。

いや、元々そんな要素があったのだろう。

酒を飲むと気が大きくなり、別人格となり、狂暴性が出てくる。

でも素になると反省し、悔いる。けれどまた酒を飲むと・・・と、その繰り返し。


そしてひじょうに天邪鬼でエゴの塊でもある彼は安易に妻を埋めた壁を叩いてしまう。

迂闊で単純で愚かな行為としか言いようがない。

結局は悪事はばれるということ。

そして、動物虐待は大きな罪であるということ。

虐待だけに留まらず殺してしまったり、ましてや過って妻を殺害したのに隠匿する大罪。

それらを犯してはいけないというメッセージも隠されているのだろう。


それにしても、作品中の黒猫は怖い。

絞首刑のような模様といい、片目といい、まるで男の犯した罪を総て知っているかのような目。

じっと見つめるその目に男は恐ろしさを感じたのだろう。

見透かされている。そんな恐怖に。


なにかしら罪を背負っている人間は、人や動物の目線というのがひどく気になるのかもしれない。

悟られているのではないか、見られていたのではないか。

四六時中そんな恐怖と猜疑心に苛まれているのかもしれない。

それが爆発してしまうと、この作品のように恐ろしい事態を招いてしまうのではないか。


まるで奥さんと黒猫が一体化したような恐怖。

まさに心理的サスペンス。

人間の心の奥底をヒヤリとさせる恐ろしさ。

真の恐怖とはこういう現象を指すのかもしれない。








テーマ : ホラー小説    ジャンル : 本・雑誌
 2020_05_09



今日は海外のミステリー小説の感想です。
フランチミステリーは面白い。
ネタバレあり。



   ☆ブルックリンの少女

      作者:ギヨーム・ミュッソ(フランス)

〇あらすじ
人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。
なぜか過去をひた隠しにするアンナに彼が詰め寄ると、観念した彼女が差し出したのは衝撃的な光景の写真。
そして直後にアンナは失踪。友人の元警部、マルクと共にラファエルが調査を進めると、かつて起きた不審な事件や事故が浮上する。
彼女の秘められた半生とはいったい・・・。



フランスのミステリーはお洒落感があって、良い。
本の厚さの割には、スラスラと読める作品。
まるでライブ感があって、映画のように話が進んでいくからグイグイと惹き込まれるのだろう。

アンナの本当の名はクレア。
それをひた隠しに生きてきたのは、彼女の過去にある。
青春時代にかどわかされ、変態男に人生をめちゃめちゃにされた彼女のことを思うと胸が痛い。

逃げ出せた時、警察に報告したくなかったクレアの気持ちが痛いほど分る。
けれどマルクが言ったように、もしあそこで電話のひとつでもしていたら・・・。
他の娘たちも助かった可能性がある。それを思うと切ない。

もちろん、自分以外にも囚われている女の子たちがいるとは思ってもみなかったクレアにしてみれば自分が逃げるだけでも精いっぱいだったわけだし、それを暗に責め切れないように思える。
公になれば、どうしてもテレビやマスコミに知れることになり、人々の関心の的になり、より彼女は有名になってしまい、捕まっていた当時の内容も言わなければならなくなり、それこそ個人の尊重も秘密も何もかも捨て去らなければいけなくなってしまう。
それがどんなに過酷なことか。
しかも女性として性的なことまで暴かれ、衆人のもとに明らかとなってしまうなんて、到底堪え切れない。
そう彼女が考え、身を隠すように生きてきたことは想像できる。

生き詰まる展開の割には最後呆気なく解放されたと思いきや、まさかのマルクの娘も被害者だったとは。驚きの展開。

マルクは精神的に病み、妻もその事件のあと自殺までしてしまう。
立ち直ったかのように振る舞っていたが、それは到底嘘で、彼は今でも苦しみもがいている。
逃げた時に通報しなかったクレアを憎み、報復をせねばという思いに駆られる。
マルクの気持ちも痛いほどよく分るだけに、彼だけを責め切れない悲しさがある。
クレアを憎む気持ちに終止符は打てないかもしれない。根本的には彼女と和解は無理かもしれない。
でも、最後娘が書いた日記を読み、少しは心に温かみを感じることができたのではないか。
否、そうであってほしい。でなければ、辛すぎる人生だ。

クレアは懐妊し、きっとこの先の人生は穏やかに愛するものたちと幸せに暮らしていけるに違いない。けれど、今回の事件と過去の事件から逃れることは決してできなく、それは彼女の精神を時には蝕んでいくだろう。
それでも、彼女は強い女性だから、きっと愛する家族のために必死で幸せを追い求め生きていってくれるだろうと願う。
そして、マルクも。

もう、ふたりの傍にはもしかした居られないかもしれない。
いや、こんな結末だったからこそ、ふたりは彼の傍で支えていってほしいとは思うけど。
それも過酷すぎるのか・・・。

作中、ラファエルの子供が出てきて和やかで優し気な空気感もほどよくいい。みんなであやす様はとても微笑ましい。
捜査に同行させる父親にもなんだか笑わせられる。ラファエルの息子に対する愛情が所々に見えて、共感できる箇所がいい。

作者は、とても描写が巧いと思う。
町並みの風景、人物たちの容姿を想像しやすさ、当時のフランスやアメリカの政治的背景など。
とても読者に対して分かりやすく面白い。

ミステリーという物語性だけではなく、そこも見どころのひとつだろう。
まあ、だからベストセラーなのだろうけど。

実に次作が楽しみな作家である。








テーマ : 推理小説・ミステリー    ジャンル : 本・雑誌
 2020_05_04




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Author:toka115507270224
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