こんにちは。

新しいマグカップを探し中の冬灯です^^


今日は海外小説の感想日記です。






   マクベス

     作者:シェイクスピア


〇あらすじ
かねてから、心の底では王位を望んでいたスコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った3人の魔女の奇怪な予言と激しく意志的な夫人の教唆により野心を実行に移していく。
王ダンカンを自分の城で暗殺し王位を奪ったマクベスは、その王位を失うことへの不安から次々と血に染まった手で罪を重ねていく・・・。





シェイクスピアの有名な戯曲。
勇猛果敢だが小心な一面もある将軍マクベスが妻と謀って主君を暗殺し王位に就くが、内面・外面の重圧に耐えきれず錯乱して暴政を行い、貴族や王子らの復讐に倒れる。
実在のスコットランド王マクベスをモデルにしている。

魔女はマクベスに「いずれ王になる」とは言うが「王を殺せ」とは言わない。
それはマクベスの解釈で、しかもそれを自分の決意によって選びとったのかというと、そうでもない。
マクベスは逡巡するが、その逡巡は預言や夫人の言葉によって容易く打ち消され、しかもマクベス自身がそれを望んでいる。
打ち消されたい為に逡巡している。
答えは多分マクベスの中にあるのだ。
だけどそれを後押ししてもらわなければ動き出せない。
真の意味で自分を信じることが出来ない不安が引き起こす悲劇。
マクベスだけを責めることはできないが、支える人たちに恵まれていなかった要因も大きい。

なにしろ妻が一番の後押し者なんだから、どうしようもない。
むしろマクベスよりも夫人の方が何倍も恐ろしい。
彼女こそ魔女だったのではないかと思うほど。
なぜそこまで業が深いのか。
そんなに権力というのは魅力的なのか。

マクベスの正直さ、権力への固執、罪悪感に押しつぶされ、猜疑心に悩まされ、結局は滅亡してしまう心の弱さ。そして因果応報。
唆された罪というのは実は重いのだ。
だからこそ、惑わされない強い精神、自制というものをしっかりと持ち続けなければいけない。
人間とは弱いものだから。
すぐに甘い方へ傾く種族だから。

夫人の甘言を打ち払う心を持っていたらマクベスの運命も変わっただろうに。
魔女たちの予言を聞いたりしなければ。
だが、これらは彼の心の弱さが生んだものなのだ。
マクベスがどういう人間かを熟知していた夫人。
心の闇が生んだ魔女という存在。
それは正しくマクベスが引き寄せてしまった悲劇だ。







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テーマ : 考えさせられる本    ジャンル : 本・雑誌
 2020_08_19



今日は海外小説の感想です。

かなり昔に読んだ作品。
当時の読書感想文です。






   ☆人形の家

      作者:イプセン


◎あらすじ
小鳥のように愛され、平和な生活を送っている弁護士の妻ノラには秘密があった。
夫が病気の時、父親の署名を偽造して借金をしたのだ。
秘密を知った夫は社会的に葬られることを恐れ、ノラをののしる。
事件は解決し、夫は再びノラの意を迎えようとするが、人形のように生きるより人間として生きたいと願うノラは3人の子供も捨てて家を出る。





有名な戯曲。
新たな時代の女性の姿を世に示した作品。

人間(女性)の自我、自立、宗教や社会との関係、といったテーマが浮かび上がる。
解説を見ると本作は1879年の作。
日本だと明治12年。近代化を進めてた時期と思う。
ヨーロッパではこういう事が問題提起されてたのか。
ノラのとった行動は賛否両論わき起こったらしい。
時代のテーマを感じて興味深い。

ノラのとった行動は正しいものだったのかどうか。
このテーマは戯曲を読み終えた時、それぞれ異なる意見がある様に思う。
とはいえ、イプセンの生きた19世期半ばから20世紀初頭にかけ、婦人解放論は様々な議論を呼んだに違いない。
女性の社会的身分がほとんど確立されていない当時、妻は夫に尽くす身である事は当然であって、そこに社会的な疑問の余地は無かったはずである。
しかしそうした家庭内の役割以前に、人として生きる事とは何かを重く深く考えさせられる作品である。

ただし、ひとつ非難しておきたい。
ふたりは子供のことを全く考えていないという点。
確かに人間である以上、人権は男であれ女であれあるべきものだ。
だけど、子供は?
自分が今まで人形のように扱われてきたことに気付き、自我に目覚め自立しようとする様は共感が持てるし、同じ女性としても敬意を表する行為だけど、その前にひとりの親であるということも同時に忘れてはならない重要な要素だ。
ノラは自由と引き換えに親であることも捨ててしまう。
自由とは家を出ることだけなのか。
夫から離れることだけなのか。

家にいながらでも、やろうとすれば革命は起こせるはずだ。
もしそれでも夫の協力が得られないというのなら、子供たちにも説明を行うべきだと思う。

今まで人形のようだったと言うが、彼女はそれに甘んじてきた生活を送ってきたわけで、自我に目覚めたからといって、いきなり家を飛び出すというのはあまりにも無鉄砲で世間知らずな行動だ。
まず、自分がどうするべきなのかよくよく思案する。その姿勢が見えないのが残念でならない。
短絡的で身勝手な行動ともとれる彼女にあまり同情はない。
正直共感もあまりもてない。

ただ、当時の社会性を考えればひじょうに考えさせられる内容提起であることは間違いない。
女性の自立と自由。
そのテーマだけを追求するにはとても良い戯曲だといえよう。






テーマ : 考えさせられる本    ジャンル : 本・雑誌
 2020_07_02



学生時代読んだ本の感想。
当時を思い出しながら・・・





   ☆十五少年漂流記

      作者:ヴェルヌ


◎あらすじ
14歳のゴードンを頭に15人の少年たちだけを乗せたスクーナー船が、ふとしたことから荒海に出てしまった。
大嵐にもまれた末、船は、とある岸部に座礁。
島か大陸の一部かも分からないこの土地で、彼らは生きるために様々な工夫を重ね、持ち前の知恵と勇気と好奇心とを使って冒険に満ちた生活を始める。





少年向けの冒険小説で、無人島に漂流した少年達が力を合わせて生活していく物語を描いている。

巻頭の地図に何度も戻りながら読み進めるのは、自らも探検しているような気分にさせる。
 ゴードン、ブリアン、ドノバンの関係性がいじらしく、米英仏の人柄をこの3人で表している。

ただ時代を感じることも多々あって、黒人のモーコーが皆から当然のように下に見られていたり、15人の少年は全員男の子で、女の子は登場しないことだったり。
差別を感じる。
少年たちの知恵と勇気、思慮深さは目を見張るものがあり、自分が今無人島に行ってこんな風に生き延びれるか不安になる。
植物や動物、科学に対する知識を上手に使って生き延びていく少年達はカッコ良かった。

それぞれの知恵を出し合って、大統領を決めたり、ルールを決めたり。
大人がいなくても彼らなりに学んでゆく姿は勇気と心強さ、逞しさを感じさせてくれ、一緒に冒険をしているような感覚になる。

国も違う少年たちが数年に及ぶサバイバル生活の中で得たものはとても大きいだろう。
時には反発し合い、トラブルが起こったり。
でも最終的には団結して、災難をみんなで乗り越えようとする姿は感動を呼ぶ。

差別的な要素さえ抜かして読めば、楽しいひと時を瞑想できるだろう。
何歳になってもやっぱり冒険というのは夢があっていい。
この話はただ夢という幻想的な要素だけでなく、いかに生きていくために団結して生活をしていくかの要素もしっかり描かれていて、面白い。
そして、ブリアンの弟ジャックによる秘密の告白。
船が流されてしまったのは、彼のいたづらが原因だったという事実。
悔恨のために元気をなくしていくジャック。とうとう罪を告白するシーンは涙がホロリ。

冒険によって成長してゆく少年たちの青春物語。
面白い一冊です。






テーマ : SF小説    ジャンル : 本・雑誌
 2020_06_20



大好きなアリス。
読書感想です。





   ☆鏡の国のアリス

      作者:ルイス・キャロル


◎あらすじ
暖炉の上の鏡を潜り抜け、アリスはまたまた奇妙な冒険に飛び込んだ。
おしゃべりをする花たち、編み物をするヒツジ、ハンプティダンプティ、ユニコーン、赤の女王などなど。鏡の国を彷徨っていると、次々に不思議な住人たちがあらわれて、気がつくとアリス自身も女王さまに。




不思議の国のアリスの続編。
前作では不思議の国を冒険した少女アリスが、今作ではを通り抜けて異世界に迷い込む。
前作と同様、文中には様々な言葉遊びやパロディがちりばめられているが、即興で作られた話がもととなっている前作とは異なり、はじめから出版を意図して作られた今作の物語はより知的な構成がとられており、アリスをはじめとする登場人物たちはチェスのルールに従って、桝目で区切られた鏡の国の中を行き来する。 

また今作ではハンプティ・ダンプティトゥイードルダムとトゥイードルディーといった、マザー・グースに由来するキャラクターが登場するほか、ナンセンス詩の代表作として知られる「ジャバウォックの詩」が作中作として登場する。
前作同様、ほかにも多くの詩と童謡が作中に挿入されている。

不思議の国とはまた違った世界観が面白い。チェスというアイデアも面白く、頭の良さが伺える。
相変わらず言葉遊びにひねりがあり、全作よりも難易度が上がっているものの楽しめる一冊。
子供が楽しめる作品だけど、言葉のウィットさとかダークユーモアといい、大人も十分に楽しめる。

チェスのルールを基にして、鏡という現実とは対の世界をもつしっかりとした構成になっている。
ここではアリスは白のポーン(歩)として参加し、女王になるまでの「詰め」の過程を示している。

マザーグースを適用しているのも楽しいし、キャラクターたちもそれぞれ濃い性格をしていてそれだけでも読んでいてワクワクする。
子供の頃はしょっちゅうアリスのような世界に行ってみたいと思っていました。
あとピーターパン(笑)

夢と冒険はセットですね。
アリスのような夢を毎日見ることができたら、こんなに眠るのが楽しくて、待ち遠しいことはないのになぁ。







テーマ : ファンタジー小説    ジャンル : 本・雑誌
 2020_05_25



海外の文学作品は、日本の小説ほどには読んでいないけど、昔は読んでました。
内容が難しくて、理解に苦しんだものばかりでしたが (笑)
今日は海外の小説の感想です。
昔の日記より。




   ☆車輪の下


     作者:ヘルマン・ヘッセ

〇あらすじ

ハンスという少年は、天才的な才能を持ち、エリート養成学校である神学校に2位の成績で合格する。町中の人々から将来を嘱望されるものの、神学校の仲間と触れ合ううちに、勉学一筋に生きてきた自らの生き方に疑問を感じる。

そして、周囲の期待に応えるために、自らの欲望を押し殺し、その果てに、ハンスの細い心身は疲弊していく。勉強に対するやる気を失い、ついに神学校を退学する。

その後、機械工となり出直そうとするが、挫折感と、昔ともに学んだ同級生への劣等感から自暴自棄となり、慣れないに酔って川に落ち溺死したようにも受け取れるが、真相は語られてはいない。 




周囲の人々からの期待を一身に背負い、その軋轢の中で心を踏み潰されていく少年の姿を描く自伝的長編小説。

題名の「車輪」は、主人公の少年ハンスの青年期における多感で繊細な心を無残にも踏み潰す社会や村落の仕組みを表現していると思われる。

ヘッセは、少年時代の神学校在学時に、「詩人になれないのなら、何にもなりたくない」と悩み、不眠症ノイローゼを患うようになったという。

その結果、神学校を退学、精神療養を経て、一般の高校に転校する。その後も、どうすれば詩人になれるのかを悩み続け、再び高校を退学、本屋の見習いとなった。

しかし、三日でその店をやめて、消息を絶ってしまった。この物語の主人公であるハンスには、周りに誰も支えてくれる人がいない。

それに対して、ヘッセには、母親がいた。そして、母親の存在があったおかげで、ヘッセは立ち直ることができた。ハンスとヘッセとの大きな違いである。 


ハンスとハイルナーの交流が見所。2人の関係は少年愛に近い。

ハンスはハイルナーにファーストキスを奪われてしまう。

ハイルナーとの出会いをきっかけに、ハンスは学校生活や勉強に疑問を持ち、成績も落ちてしまう。そして、ついに心の病になって倒れてしまう。

純粋な心、押しつぶされる重圧。そして、このままでいいのか悩む疑問。

刺激的で自由な友、ハイルナー。恋に近い感情。ここは読んでいて、ドキドキした。

でも、結局ハイルナーは退学してしまう。心の拠り所を失ったハンスも落ちぶれていき、退学。

その後の人生もうまくいかず、絶望と諦め、そして屈辱の中で生きていく。全く救いようのない物語だけど、考えさせられる点は多々ある。

世の中に対する不安、受け入れられない社会。葛藤する己。やり場のない怒り。

本作の題名になっている「車輪」とは、学校や社会などの制度のことを大まかに指している。ハンスはそれにつぶされないように、勉強して神学校に進んだ。

しかし、そのために結局は、彼も車輪に潰されることになってしまう。そうして、彼は徐々に純粋な心を失っていく

ハンスはとにかく神経が細くて、すぐに周りを気にしてしまう心の持ち主。そんな繊細な性格のハンスに相談できる相手がもしいたならば。心の癒しになる存在があったならば。

最後、死んでしまったのか描写が曖昧で分からないけれど、ここで助かったとしても彼の未来は変わらないような気がする。ずっと劣等感とともに生きていくことになるだろう。

救われない小説だ。







テーマ : 洋書    ジャンル : 本・雑誌
 2020_03_18




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toka115507270224

Author:toka115507270224
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徒然に徒然なるがままに書き綴っています。主に自作の詩、サザン、役所広司さんやドニー・イェンなどなど。他にも興味があることを気の向くままに語っております。

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