今日は日本文学作品の読書感想です。
学生の頃に読んだ作品なので、そうとう昔だけど。

昔から読んだ本の感想は書き留めています。






   流れる


    作者:幸田文


〇あらすじ
梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた40過ぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。
没落しかかった芸者置屋に女中として住み込んだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側から細かく観察し、そこに起こる事件に驚きの目を見張る・・・。





自身の体験を踏まえて、華やかな花柳界と零落する芸者置屋の内実を描ききった作品。
舞台や映画化もされている彼女の代表作でもある。
自身の体験を軸に、幼いころから親しんだ隅田川沿いの風景と町並み、人々の暮らしぶりを背景にして物語が進んでいく。

タイトルの「流れる」について作者は、「しあはせになつてあちらの方へ遠く離れて行くのを見送つてゐること」のように思われる、と書いている。
みんな誰かをあてにして生きていて、それを歯がゆく主人公は思っているけど、主人公も含めて結局流れてしか生きていけない、そんな無常観も含ませているのだろう。
人生の流れ、運命の流れ、人の心の流れ。
そんな大きな意味での題名であるように感じる。

没落しかかった芸者置屋という舞台も魅力がある設定だ。
もし私もこんなところで働いていたら絶対にネタにしてしまうに違いない(笑)
下世話な内容だが、そこには上流へ流れる者、下流へ流れる者、それぞれのストーリーがある。

最後の著者の言葉、「水は流れるし、橋は通じるし、『流れる』とは題したけれど、橋手前のあの、ふとためらう心には強く惹かれている。」という文章に、この物語の全てが凝縮されているように感じた。ふとためらう繊細な心を細やかに描写している。 

出来事ひとつひとつの背景にある女性特有の繊細な心理描写が丁寧に細かく散りばめられている。
儚く浮き沈みのある世界を愛情ある語り口で描いていて、良質の小説だ。
作者の鋭い観察眼にも恐れ入る。
置屋ならではの事件や出来事が赤裸々に語られ、文章も綺麗だし、さすが露伴の娘。やっぱり同じ文学者としての血筋なのだなあとあらためて実感。

もう古典?といっていい作品なのだろうか。
時間があればまた読み返してみよう。
私の中では樋口一葉か幸田文か。
女流作家の古典といえばこの二人がだんとつだ。






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テーマ : 読んだ本    ジャンル : 本・雑誌
 2020_08_08


Comments

サクサク動きます。 

幸田文さんという作家さんを存じませんでした。幸田露伴さんの娘さんなのですね。そういう私は『五重塔』を読む機会があったのですが・・・昔の仮名遣い。三島由紀夫氏の全集は 何とか読めたもののの...五重塔は読めませんでした。そして、幸田文さんは作家さんの存在自体も知りませんでした。幸田シャーミンさんは、幸田露伴氏の孫ということは知っていましたが・・・

 冬灯様のブログが私のパソコンでサクサク動きます。なにかが変わったのでしょうか?
HABOR33  URL   2020-08-08 16:04  

HABOR33さんへ 

コメント有り難うございます。
いつも返事が遅くなり申し訳ないです。。すみません・・


幸田文さんの小説は、女性らしい文章に加え、人間描写や背景も中々味わい深く、当時の文学を知る上では楽しく読める作品が多いように思えます。父親譲りの流れるような文章力は今の時代の作家さんとはまた一味違った描写力かと^^

よかったら読んでみて下さい^^

露伴の娘と知らない人も多いかもしれませんね。それほど作品数も多いわけではないですし、有名所も2、3点ですから。
シャーミンさん?は知りませんでした。今度調べてみます(;^_^A

三島由紀夫の作品も中々小難しいですよね。私もよく読みました。


パソコン、調子が良くなられたようでよかったです!
シークレットで頂いたメッセージのお返事、少しお待ち下さいね。
いつも遅くなってすみません。

ゆっくりとお返事を書きたいので、時間ができ次第お伺いして書かせて頂きます^^
冬灯  URL   2020-08-11 11:48  

NoTitle 

冬灯様へ

 こんにちは、事実かどうかしっかりと確かめもせず、コメントしてしまったことを恥ずかしく思います。ネットで色々調べてみましたが、幸田シャーミンさんは、幸田露伴氏の孫だとい明白な記事はありませんでした。孫でもない という記載もないことが・・・まどろこしいところですが・・・僕が高校生のころだからはるか昔。鬼籍に入られた逸見政孝氏と報道番組に出ていました。おニャン子世代でしたら、幸田シャーミンさんの名を聞くと、遠くを見ると思います。裏もとらず、軽薄にコメント差し上げたことを深くお詫びいたします。すみませんでした。人のメンツをつぶさず、さりとて言いつくろわず、嘘もつかず、素敵だと思いました。
HABOR33  URL   2020-08-13 11:55  

HABOR33さんへ 

いつもご訪問&コメント頂きまして有り難うございます。
お返事が大変遅くなってしまいました。すみません。。。


ご丁寧に有り難うございます。色々と調べて頂き、かえってご面倒をおかけしたのではと思います。。。
文章を読んでいて、ああ!分かりました。シャーミンさん!
確かに出てましたね。顔もうっすら・・・

ネットで確認しました。確かに。昔見ていた顔です^^
これだけ有名な方であっても経歴は不確かなのですね。
露伴自体、文学界でなくても有名な作家だと思うので、孫という表示がなければ、やっぱり違うのか、もしくは表に出さないようにしていたのか、気になるところですね。

今は有名な人物の孫や子孫という芸能人も多いですよね。


こちらこそ、ご丁寧な文章に敬意を払います。
いつも真摯でご丁寧なコメント有り難うございます^^
冬灯  URL   2020-08-15 09:04  

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